CとAの数物 Note

数学と物理のはざまに棲息。

1次元ランダムウォークの再帰確率

 これまで書いてきた、漸化式のお話はこの記事のアバンにするつもりだったのだが、つい、n項間での一般解が求まってしまい、厖大な量になってしまった。

 1次元ランダムウォークとは
「時刻t=0で原点m=0にある点が時刻が1増える度に、右(mの正方向)または左(mの負方向)のいずれかに確率1/21移動するというイベント」
である。

 数式化すると、時刻tmにいる確率をp_{t,m}とかくと

\displaystyle p_{t+1,m}=\frac{1}{2}p_{t,m-1}+\frac{1}{2}p_{t,m+1}\tag{1}

が成り立つ。また、t=0で原点にいることから

\displaystyle p_{0,m}=\left\{\begin{array}{}1&m=0\\0&otherwise\end{array}\right.

が条件となる。まずはこの条件を無視して、(1)の一般解を求めよう。p_{t,m}=u^tv^mの形の解をみると

\displaystyle u^{t+1}v^m=\frac{1}{2}u^tv^{m-1}+\frac{1}{2}u^tv^{m+1}

よって、u^tv^mで両辺を割れば

\displaystyle u=\frac{1}{2}v^{-1}+\frac{1}{2}v\tag{2}

の関係があることがわかる。つまり、uvの関数としてu=u(v)とかける。

また、隣接n項間漸化式での類推から、p_{t,m}=u^tv^m以外の基底はないと予想できる(証明は未完)。また、(u_1,v_1),(u_2,v_2)が(2)の関係を満たすとすると、{u_1}^t{v_1}^m{u_2}^t{v_2}^mは基底となるので

\alpha_1 {u_1}^t{v_1}^m+\alpha_2 {u_2}^t{v_2}^m

も(1)を満たす。更に、vを任意の複素数としても(2)を満たすuは存在するので、基底は無限にあることになる。つまり、一般解は全ての基底の線形和であり、基底が無限のときは積分を考えるので、u(v)^tv^mにかけられる定数をf(v)で表すと

\displaystyle p_{t,m}=\int_{-\infty}^{\infty}{\int_{-\infty}^{\infty}{f(x+yi)u(x+yi)^t(x+yi)^m dxdy}}

となり、x+yi=re^{i\theta}と変換するとdxdy=rdrd\thetaであるので

\displaystyle p_{t,m}=\int_{0}^{2\pi}{\int_{0}^{\infty}{f(re^{i\theta})u(re^{i\theta})^t(re^{i\theta})^m rdrd\theta}}

と表せる。

1次元ランダムウォーク再帰確率(2)へ続く
c-and-a.hatenablog.com