CとAの数物 Note

数学と物理のはざまに棲息。

行列の微分公式集

まず、行列の微分は、成分ごとに微分することで得られます。つまり 行列の微分は行列として定義されます。 行列の積の微分は成分に注目してとなり、これはとかき直せます。通常の微分公式と一致しています。 しかし、行列の累乗を考え始めると、事情は変わり…

物理よりな微分幾何③ 共変外微分と曲率

前回の共変微分に続いて、共変外微分を解説します。共変微分は、から、への微分写像として、定義されており、共変外微分は、それを自然にからへの微分写像として拡張したものです。なので、記号は共変微分と同じを使います。定義 共変外微分(covariant exte…

物理よりな微分幾何② 接続と共変微分

前回は、ベクトルの定義をして、ベクトル場やテンソル場などは、ベクトル束の切断である、との話をしました。続いては、共変微分についての数学的表現を話していきます。 最初に共変微分の定義をのべて、そこから、物理での共変微分とそれが一致することをみ…

物理よりな微分幾何① ベクトル束の定義

ベクトル束の勉強をしていて、分かってきたとこも多くなったので、こちらにまとめていこう! というモチベーションでやっていきます。あと、できるだけ、物理側面についても触れようと思います。むしろ、物理向けにかきたいので、ちょくちょく、数学書の記法…

n人でじゃんけんするときの回数(改良編)

以前こんな問題について書いた。 c-and-a.hatenablog.com 問題設定 人でじゃんけんを行い、あいこであればもう一度、勝ちが出れば、勝った人たちでまたじゃんけんを行う。これを最後に一人出るまで繰り返す。優勝者がでるまでに行ったじゃんけんの回数の期待…

latex : table の caption ごと左寄せする方法

latex で文章を書いているとき、表を(cell ごとのでなく、全体を)左寄せに書きたいときがある。しかし \documentclass{article} \begin{document} Hogehogehogehoge \begin{table}[h] \caption{Hoge} \begin{tabular}{|c|c|c|c|} \hline A & B & C & D \\ \h…

とある関数方程式について

以前じゃんけんの期待値について記事を書いたとき という関数方程式をといた。しかし、そのときの方法では の近傍で発散してしまい、発散級数の総和法を用いて有限値に落とし込むということをしなければならない。今回、別の解法を見つけたので、それを紹介…

Bianchi恒等式の証明

細かいところは省くので悪しからず。 以外の証明。ベクトル束 上の共変外微分 とその曲率 に対し,Bianchi 恒等式 が成り立つ。注意すべきは Bianchi 恒等式の は であること。これを忘れると私みたいにどつぼにはまる。証明 の局所標構場を 、その双対ベク…

京大入試2019理系数学問3

2019年度の京大入試、理系数学問3の別解(他の解説サイトにはない方法)で解いてみる。赤本とも多分かぶっていないと思う(高校生でないので手元にない)。問題 鋭角三角形 を考え、その面積を とする。 を満たす実数 に対し、線分 を に内分する点を 、線分 …

勝ち残りじゃんけんの回数3

前回もとめた母関数をマクローリン展開して、係数を求め、の一般項を求めることが出来た。 正直マクローリン展開云々のところは計算が大変だったので、ここに転記しない(気が向いたらそのうち書く)。さて、こうなった。なおとし、のとき、2項目はとする。…

勝ち残りじゃんけんの回数2

前回の結論 じゃんけんの勝ち残り戦の優勝が決まるまでの回数の期待値を係数とする母関数はを満たすことが分かった。以下でこの関数方程式を解いていく。色々やってみたって感じがにじみ出ている式変形でスマートでなく、結果上手くいったものであるんので多…

勝ち残りじゃんけんの回数

普通大人数でじゃんけんをするときはなかなか勝ちが決まらないため、何グループかに分割して行う。 では、分割しないで、勝ち残りで優勝を決めるまで行うとどれほどかかるのだろうか? 問題設定 人でじゃんけんを行い、あいこであればもう一度、勝ちが出れば…

Maxwell方程式の高次元化(電磁テンソル)

と表されるテンソルを前頁で定義した。c-and-a.hatenablog.comこのテンソルが表すものを探る。まず定義から、 のとき、で、また、 が恒等的に成り立つので、反対称テンソルである。 のとき同様にしてから、他の成分についても分かるのでと確かめられる。この…

Maxwell方程式の高次元化(Minkowski次元)

Minkowski次元を導入する。相対性理論がかかわってくるがそこには深く踏み込まない。Minkowski次元とは時間と空間を4次元空間を表す方法の一つ。空間座標を とし、時間座標を とする。これを と表現し、4元ベクトルと呼ぶ。また、このように添え字が上に付く…

Maxwell方程式の高次元化(Lorenzゲージ)

c-and-a.hatenablog.comこのページではMaxwell方程式の第二式、第三式を用いて、スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャルをが成り立つとした。これを第一式に代入するとまた、第四式に代入すればここでとなるようにゲージを定める(これをLorenzゲージ条…

Maxwell方程式の高次元化(ゲージ変換)

3次元においてはMaxwell方程式はと与えられる。ここまでの導出は諸々の本なりサイトに書かれているので割愛しよう。さて、この2の場(電場と磁場)の式を2つのポテンシャル(スカラーポテンシャルとベクトルポテンシャル)で表される式にする。まずよりを満たす…

様々な形の静電容量(導体円板)

半径の導体円板に電荷を与える。円板は半軸がである楕円体と考えることができ静電容量は様々な形の静電容量(楕円体導体)からすぐにだせるのだが、後のために今一度電位から求める。 c-and-a.hatenablog.com円板がつくる等電位面群はを用いてと表せた。これは…

様々な形の静電容量(楕円体導体)

さて、楕円体導体がつくる等電位面は焦点を共有する楕円体であることはしめした。 c-and-a.hatenablog.comここで導体の表面がで表される楕円体導体に与えられた電荷をとする。このとき電位は上の証明をする際に用いた関数を用いてと表せた。 c-and-a.hatenab…

楕円体導体がつくる等電位面

半軸がの楕円体導体をかんがえる。このとき、楕円体の表面はという方程式で表される。また、この楕円体と焦点を共有する楕円体群はを用いてと表される。 c-and-a.hatenablog.comこの曲面群が等電位面群であることを示す。とかけるのでここでとおけばとなる。…

等電位面の満たす条件

等電位面が満たす条件を調べる。 を変数とする、曲面群が電荷の無い空間で等電位面群になる条件はがだけの関数になることである。証明 電荷の無い領域では電位はラプラス方程式を満たす。曲面群のなかの一つの曲面はを定めることにより定まり、等電位面では…

様々な形の静電容量(導体球)

半径の導体球の静電容量を求める。導体球を電荷だけ帯電させた。まずこの球の周りの電場から求める。球の対称性より電場の向きはすべて中心を背に向けた方向であるので、半径の球面で面積分すると、ガウスの定理より である。導体球の電位はであるのでよって…

様々な形の静電容量(静電容量のもう一つの意味)

さて、これまで静電容量は二つの極板A,Bにの電荷を帯びさせたときの二つの極板の電位差をもちいてと定義されてきた。この定義では導体が二つないと定義できない。そこで、静電容量を導体固有の量とするために、極板間の電位差ではなく無限遠との電位差に書き…

様々な形の静電容量(平行板コンデンサ)

真空中に面積がの二つの極板を間隔に平行におく。は極板に対して非常に小さいとする。 A,Bにそれぞれの電荷を与えたとすると、極板の内側の表面に一様に電荷は分配される。極板Aの電荷密度はで与えられる。 上図のように極板Aを拡大し、極板Aの内側の面を貫…

様々な形の静電容量(立方体)

静電容量のコンデンサを立方体状に接続したとき 立体のままでは考えづらいので平面に接続の仕方を保ったまま変形する。 ここで、点C,D,Eに着目するとY接続になっていて、更に立方体の対称性からDとEは等電位であることがわかる。Δ接続に変換すると であるこ…

様々な形の静電容量(Δ接続とY接続)

Δ接続とY接続の変換 上図の二つの接続をΔ接続とY接続と呼ぶ(通常はコンデンサではなく抵抗をつないだものをそう呼ぶ)。 Δ接続(Y接続)から、点A,B,C間それぞれの静電容量が変わらないようにY接続(Δ接続)に変換するときの両接続の関係を調べる。まず、AB間で静…

様々な形の静電容量(正方形・無限梯子形)

正方形に静電容量のコンデンサを接続したとき 合成した静電容量をとする。これは二つのコンデンサを直列につないだものを更に並列につないだものとみなせるのでとなる。無限梯子形に静電容量のコンデンサを接続したとき この合成した静電容量をとする。 更に…

様々な形の静電容量(直列・並列)

コンデンサの直列接続 上図のように静電容量とのコンデンサを直列接続し、その外側の極板にの電荷を与える。内側の極板にもの電荷が誘導されるのでとなり、合成した静電容量をとするとつまり、直列接続ではが成り立つ。コンデンサの並列接続 上図のように静…

n次元ランダムウォークの再帰確率(2)

n次元ランダムウォークの再帰確率の続き c-and-a.hatenablog.comつづいて、条件を満たす数列を求めるためにを決定するのだがほぼ1次元ランダムウォークの再帰確率(2)で行った通りなので、結果だけ示すとする。 c-and-a.hatenablog.com結果求める数列はとな…

n次元ランダムウォークの再帰確率

1次元ランダムウォーク同様、時刻に位置に動点がある確率をで表す。また、第軸正方向に動かすベクトルをとおけば、漸化式はとなる。 また条件はかつは実数とする。まず、条件を無視して漸化式の一般解を求めよう。(1次元ランダムウォークの方法をなぞる)と…

1次元ランダムウォークの再帰確率(3)

1次元ランダムウォークの再帰確率(2)の続き c-and-a.hatenablog.com再帰確率とは、ランダムウォークを無限(つまりかなり長い間)に続けたとき、動点が原点に少なくとも一回戻っている確率である。まず、時刻に初めて原点に戻った確率を、時刻に(初めてでな…